製造間接費を理解する
製造間接費は、製品へ直接追跡しない共通の製造原価をまとめたものです。実際発生額を集め、指定された基準で配り、製品別額と全体額を照合する基本手順を学びます。
この単元で学ぶこと
- 間接材料・間接労務・間接経費を集計する
- 実際発生額と実際基準量から配賦率を求める
- 製品別原価と配賦総額を照合する
本文解説
共通の製造原価を集める 間接材料2,000円、工場監督の間接労務3,000円、共通の製造経費5,000円なら、製造間接費10,000円です。製造間接費は経費だけの別名ではありません。Aに直接把握できる材料や専用作業、本社管理の費用をこの共通の製造プールへ混ぜないようにします。
配賦の前提を明示する この単元は、当月の実際発生額を当月の実際使用量に従い全額配る基本例を扱います。将来見積から率を先に決める予定配賦や、標準原価の差異分析は初級必須として扱いません。どの額を、何の基準で、どの製品へ配るかを明示してから計算します。
実際配賦率を求める 間接費14,000円を機械運転時間A12時間・B16時間で配るなら、総28時間です。実際配賦率は14,000÷28=500円/機械時間。分子は円、分母は基準量で、率の単位も記録します。製品の種類数2で割った7,000円は、この機械時間の配賦率とは違います。
基準量に率を掛ける Aは12×500=6,000円、Bは16×500=8,000円です。14,000×12/28と比率を使ってもA6,000円になります。配賦総額は6,000+8,000=14,000円となり元のプールを使い切ります。端数が出る場合は端数処理条件も必要ですが、ここでは割り切れる例を用います。
直接費へ合流する A直接費9,000円、B直接費11,000円に前の配賦額を加えると、A15,000円、B19,000円です。全体は直接20,000円+間接14,000円=34,000円。間接費を配ることは新たな原価を発生させる行為ではなく、集めた共通費を対象へ分ける行為です。
基準は資源との関係で選ぶ 設備の使用に強く関連する電力を機械時間、工場家賃を面積など、資源使用の関係を表す基準を指定できます。どの原価にも必ず一つの基準が最良というものではありません。試験問題では与えられた基準を守り、複数基準があるならプールを分けて計算します。
率と総額の変化を区別する 共通費14,000円が一定で総基準時間が28から35へ増えれば、実際率は500から400円/時間へ下がります。率が下がったことだけで費用総額が減ったとはいえません。何が分子で何が分母かを書き、操業量と原価の変化を別々に把握します。
帳票の照合を行う 間接費の資源別内訳、基準量の製品別内訳、配賦額の製品別内訳を順に確認します。直接費を二度入れていないか、基準量の製品を落としていないか、合計が元の額へ戻るかを点検します。売れ残りがあれば配賦額の一部は在庫へ残るため、配賦した時点ですべてが当期売上原価になったとは限りません。
図解
重要ポイント
- 製造間接費は間接材料・間接労務・間接経費の合計。
- 実際率は実際共通額÷実際基準量。
- 配賦額は率×対象の基準量。
- 率低下だけで総原価削減とは判断しない。
間違えやすい点
- 工場の直接費や本社費を共通製造費へ混ぜない。
- 予定配賦の条件を勝手に追加しない。
- 配賦額を即全額売上原価と決めつけない。
用語解説
- 製造間接費
- 対象製品へ直接把握しない、共通の製造活動の原価。
- 実際配賦率
- 実際発生した共通原価を実際の基準量で割って求めた率。
- 機械時間
- 設備の運転・使用時間を配賦基準として測った量。
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参考資料
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