労務費を理解する
労務費は人の作業や勤務に関する資源消費です。給与の手取額だけを原価と思わず、活動の場所・対象製品への対応・時間と評価単価を分けて把握します。
この単元で学ぶこと
- 労務費と他の費目を区別する
- 直接作業と共通作業を分類する
- 時間単価による労務費を計算する
本文解説
人の働きを原価にする 製品を加工する人の賃金、工場の監督者の給料など、人の働きに関する原価が労務費です。布や木材という物の消費である材料費、建物の使用や電力などの経費とは形態が違います。労務費を計算するには、その期間の作業や勤務に対応する金額を把握します。
製造活動と販売管理活動 同じ給料でも、製造現場の作業に対応すれば製造原価、本社の管理事務に対応すれば一般管理費です。販売担当者の活動に対応する給料は販売費となります。「給料だからすべて製造原価」という判断をせず、人がどの活動を担当したかを読む必要があります。
直接作業を製品へ結び付ける A製品を加工した時間を作業票から把握できれば、その時間に対応する労務費をAへ直接集計します。1時間1,200円で評価してAに5時間かかったなら6,000円です。直接労務費という語は、対象へ直接追跡できるという関係を表しています。
共通作業の労務費 複数製品に関わる工場監督者の給料や、製品別に測らない共通清掃の作業費は間接労務費として集計します。直接作業者という職種の人でも、その時間が共通の作業に使われたなら直接費とは限りません。人の所属名だけでなく、活動内容と追跡する資料を確認します。
時間の単位を揃える 時間単価1,200円で1時間30分なら、1.5時間×1,200=1,800円です。30分は0.3時間ではありません。分単価へ直すなら1,200÷60=20円/分、90分×20=1,800円となります。異なる方法で同じ金額になることを確認できます。
複数人の作業を合計する 同じ時間単価1,000円の人が3人、それぞれ2時間作業すれば合計6人時、労務費6,000円です。仕事の経過時間2時間と、投入した人の時間合計6時間は異なります。同じ仕事でも人数が違えば投入した労働量が変わるため、何人が何時間働いたかを明示します。
手取額と労務費を分ける この教材では給与総額を労務費として集計する条件を用います。給与総額100,000円、本人負担の税等の控除10,000円、手取90,000円なら、控除を行っても労務費100,000円は変わりません。本人のために預かる額と会社が負担する原価は別です。会社負担の社会保険等を加える場合は、その対象額を設問で明記します。
改善は総額だけで決めない 同じ品質の製品100個を、時間単価が一定の下で100時間から90時間へ短縮できれば労務原価は減ります。しかし生産数量が大きく増えた月は、総労務費が増えても1個当たりは下がる場合があります。作業の品質・数量・単価を揃え、使用時間が変わったのか単価が変わったのかを分けて調べます。
図解
重要ポイント
- 労務費は人の作業に関する原価。
- 活動内容で製造と販売管理を分ける。
- 直接・間接は製品への追跡可能性で区別する。
- 人数×時間と時間単価の単位を揃える。
間違えやすい点
- 経過時間と合計人時を同一視しない。
- 給与の手取額だけを労務費にしない。
- 作業者の職種だけで全時間を直接費としない。
用語解説
- 直接労務費
- 対象製品等への作業を直接把握して集計する労務費。
- 間接労務費
- 共通作業など対象別に直接把握しない労務費。
- 人時
- 人数と各人の作業時間を合わせた労働投入量。1人が1時間で1人時。
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参考資料
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