経費を理解する
製造原価を材料費・労務費に分けた後、残る多様な資源消費を経費として整理します。電力、賃借、設備使用、外注加工を例に、形態別の経費と販売管理の機能別区分を切り分けます。
この単元で学ぶこと
- 経費を形態別分類として説明する
- 支払額と対象期間の経費を区別する
- 経費にも直接・間接があることを理解する
本文解説
原価の三つの形態 原価の形態別分類では、材料費と労務費以外の原価を経費と呼びます。工場の賃借料、電力料、設備の減価償却費などが例です。日常語で「会社の支出全部」を経費と呼ぶ場合とは意味が異なります。この単元では原価計算上の形態分類として用います。
電力という資源の使用 工場設備を動かす電力費が5,000円なら製造経費です。材料と違って物の在庫として手元に残す扱いではなく、人の労務でもありません。同じ電力費でも店舗の販売活動や本社の管理活動なら販売費・一般管理費となるため、形態と活動の二つを確認します。
場所を使う原価 工場の月額賃借料30,000円は、その月の製造活動で場所を利用するための経費です。3か月分90,000円を先に払っても、各月30,000円で利用する条件なら今月分は30,000円です。現金の支払時期だけで、対象期間の資源消費が3倍になるわけではありません。
設備は使用期間へ配分する 取得額120,000円、残存価額0、利用期間60か月へ均等配分するという学習条件なら、毎月の設備使用原価は2,000円です。これを減価償却費として扱います。設備代全額を購入月の材料費にするのでなく、使用する期間へ配分する考え方です。税法上の耐用年数を推測する問題ではありません。
特定製品の外注加工 A製品だけの加工を外部へ依頼し、その加工代8,000円がAへ直接把握できるなら、ここでは直接経費とします。外注先に払う加工サービスの対価であり、自社従業員の賃金ではありません。同じ経費でも、複数製品に共通の工場家賃は間接経費です。
共通費を製品へ配る AとBで共用する工場の経費12,000円を、使用時間A2時間・B4時間で配賦する条件なら、A4,000円、B8,000円です。経費という形態分類から、一律に直接または間接と決められません。対象別に直接把握できるか、合理的な基準で配る必要があるかを判断します。
売上総利益と営業利益の位置 製造経費は製造原価へ集計され、完成・販売の段階を経て売上原価に関係します。一方、販売店の広告費や本社管理費は販管費へ集計します。売上高50,000円、売上原価30,000円、販管費7,000円なら営業利益13,000円です。経費という語だけで、すべてを売上総利益の前で引かないようにします。
支払のない月にも原価がある 減価償却費は設備購入月以外にも配分されます。工場家賃を先に払っていた月でも、その期間の利用原価があります。逆に前払した将来分をすべて今月へ集めないことも同じ考え方です。現金の出入りと、対象期間の資源の使用を別の表で確認します。
図解
重要ポイント
- 経費は材料費・労務費以外という形態分類。
- 形態と製造/販売管理の機能を分ける。
- 前払や設備取得額を対象期間へ対応させる。
- 特定製品への外注加工は条件により直接経費。
間違えやすい点
- 日常語の経費と原価計算の形態分類を混同しない。
- 支払額全額を必ずその月に消費したとしない。
- すべての経費を間接費と決めつけない。
用語解説
- 経費
- 原価の形態別分類で、材料費・労務費以外に分類する資源消費。
- 減価償却費
- 設備等の取得原価をその使用期間へ規則的に配分した額。
- 直接経費
- 対象製品へ直接把握できる、材料費・労務費以外の原価。
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参考資料
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