売上原価の計算演習
在庫・返品・製品別集計が含まれる資料から売上原価を求めます。完成原価を逆算し、利益の変化が原価の改善なのか在庫の変化なのかを区別します。
この単元で学ぶこと
- 原価の保存式を逆算する
- 返品を含む数量と売上原価を対応させる
- 製品別利益と全体利益を照合する
本文解説
完成原価を逆算する 月初製品4,000円、月末製品6,000円、売上原価18,000円が分かるとき、完成原価は18,000+6,000-4,000=20,000円です。販売と在庫の行き先合計24,000円から、前月の持越し4,000円を除くと今月の完成分が残ります。
仕掛品と製品の二段階 月初仕掛3,000円、投入22,000円、月末仕掛5,000円なら完成20,000円です。次に月初製品4,000+完成20,000-月末製品6,000=売上原価18,000円と進みます。未完成と未販売を分けることで、5,000と6,000をどこで引くか判断できます。
返品を数量から処理する すべて原価300円の製品を40個出荷し、うち2個が良品として戻ったとします。返品後の純販売は38個なので売上原価は11,400円です。返送品は同じ原価で製品へ戻し、原価600円を売上原価から減らします。返金売価を製品原価として戻しません。
売上返品と原価の戻しを区別 売価500円なら売上返品は2×500=1,000円、原価の戻しは2×300=600円です。返品による売上総利益減少は400円であり、1,000円でも600円でもありません。返品後は売上19,000-原価11,400=利益7,600円となります。
製品別の利益 Aは売上12,000円・売上原価7,000円、Bは売上9,000円・売上原価6,000円です。A総利益5,000円、B総利益3,000円で合計8,000円。共通販管費3,000円なら全社営業利益5,000円となります。共通費を製品別へ配分していない場合、AとBの営業利益を勝手に求めません。
在庫差と利益差 販売数量・売価・単位原価が一定なら、完成数量を増やして在庫が増えても、販売した数量に対応する売上原価は同じです。たとえば純販売38個、単位原価300円なら11,400円です。実際には固定製造費の単価変化もあり得るため、単位原価一定という条件を外して一般化しません。
評価誤りを訂正する 月初製品4,000、完成20,000、真の月末6,000なら売上原価18,000円です。月末を7,500として計算した16,500円から訂正するには、売上原価を1,500円増やします。同じ額だけ売上総利益を減らし、売上そのものは変更しません。
照合表で締める 仕掛品は3,000+22,000=20,000+5,000、製品は4,000+20,000=18,000+6,000と、それぞれ左右の総額が一致します。両式を足すと完成20,000が内部振替として消え、期首在庫+投入=売上原価+期末在庫と確認できます。
図解
重要ポイント
- 完成=売上原価+月末製品-月初製品
- 良品返品は売上と原価を異なる単価で戻す
- 仕掛品・製品それぞれで原価保存を確認する
間違えやすい点
- 返品売価を在庫の原価にしない
- 在庫増加だけで利益改善を断定しない
用語解説
- 純販売数量
- 販売数量から返品数量を控除した数量。
- 売上返品
- 販売した製品が返され、売上を取り消すこと。
- 原価保存の照合
- 期首と投入の合計を、販売・完成・期末などの行き先と一致させる検算。
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参考資料
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