財務諸表の入口を理解する
貸借対照表は一定時点の財産と義務、損益計算書は一定期間の収益と費用を示します。二つの表を、小さな役務業の数値でつなぎます。
この単元で学ぶこと
- 貸借対照表と損益計算書を区別する
- 資産・負債・純資産を配置する
- 利益と純資産の関係を数値で確認する
本文解説
二つの問い 「月末に何を持ち、いくら返す必要があるか」と「一か月でどれだけもうかったか」は異なる問いです。前者に答えるのが貸借対照表、後者に答えるのが損益計算書です。現金残高だけで両方を判断することはできません。 【共通前提】個人事業の帳簿。事業主の元入・私用引出は資本金勘定で直接処理する。金額は円。消費税・利息は、設問に金額を示した場合以外は考慮しない。仕訳は借方/貸方の順。商品売買は三分法。
貸借対照表の見方 貸借対照表は一定時点の資産・負債・純資産を示します。学習用の左右の形では左に資産、右に負債と純資産を置き、資産=負債+純資産が成立します。月末時点の現金、備品、借入金などは残高で記載します。
損益計算書の見方 損益計算書は一定期間の収益と費用を示し、その差額で利益または損失を表します。当月受取手数料18,000、当月家賃5,000と通信費3,000だけなら、当月利益は18,000-5,000-3,000=10,000です。
一か月の事業の出発点 月初に事業主が現金50,000を元入し、銀行から20,000を現金で借り、備品12,000を現金購入した役務業を考えます。開始後の現金58,000と備品12,000で資産70,000、負債20,000、純資産50,000です。
営業活動を加える 当月に役務を完了して手数料18,000を現金受領し、当月家賃5,000と通信費3,000を現金払いしました。この例では他の収益費用や減価償却はないとします。月末現金は58,000+18,000-5,000-3,000=68,000です。
月末の二表をつなぐ 月末資産は現金68,000+備品12,000=80,000、負債は借入金20,000です。差額の純資産60,000は、元入50,000と当月利益10,000の合計に一致します。備品購入12,000や借入20,000を損益へ混ぜるとこの関係が崩れます。
期中の勘定との関係 期中の帳簿には資本金50,000、受取手数料18,000、支払家賃5,000、通信費3,000が別々に残ります。資産-負債の純資産を説明する際は資本金へ未振替の損益10,000を加味します。ここでは決算振替の操作でなく二表の関係を学びます。
読めることと読めないこと この月末貸借対照表から借入残高20,000は分かりますが、返済期日までは表だけで決まりません。損益計算書の利益10,000から現金68,000を直接求めることもできません。元入・借入・資産購入など、損益以外の資金移動を別に追う必要があります。
図解
重要ポイント
- 貸借対照表は時点、損益計算書は期間。
- 資産=負債+純資産、利益=収益-費用。
- 利益と現金残高は同じではない。
間違えやすい点
- 備品取得を全額費用や借入を収益へ混ぜない。
- 期中資本金の残高だけを常に純資産総額と同一視しない。
用語解説
- 貸借対照表
- 一定時点の資産・負債・純資産を示す表。
- 損益計算書
- 一定期間の収益・費用と損益を示す表。
- 当期利益
- 対象期間の収益が費用を上回る額。
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参考資料
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