Replicationを理解する

S3 Replicationの対象、前提、削除の伝播を整理し、複製先を実際に利用できる構成を学びます。

この単元で学ぶこと

  • 複製方式と対象を選ぶ
  • 複製の前提と認可を確認する
  • 非同期処理と削除の動作を判断する

本文解説

1. 複製の役割 Replicationは送信元のオブジェクトを別のバケットへ複製する仕組みです。リージョン障害に備えたり、別アカウントに分析用データを集めたりできます。読み手が自動的に複製先へ切り替わる仕組みとは別なので、接続先変更も設計します。

2. CRRとSRR CRRは異なるリージョン、SRRは同じリージョンにある別バケットを使います。東京の障害に備えて別リージョンへ置く目的ならCRRです。同じリージョンの別アカウントへ集約するだけならSRRを検討します。アカウントの違いとリージョンの違いを混同しません。

3. Versioningと権限 送信元と送信先でVersioningを有効にします。S3が複製に使うロールの権限、送信先のバケットポリシー、必要な鍵の権限も設定します。バケットが存在するだけでは複製は成立しません。

4. 対象の絞込み ルールはプレフィックス等で複製対象を限定できます。例えばreceipts/だけ複製するならlogs/は対象外です。既存オブジェクトがルール追加によってすべて遡及複製されるとは限らず、既存データにはBatch Replicationを検討します。

5. 非同期の確認 複製は非同期です。書込み直後の元データを見て複製先も最新と決めつけず、複製状態、失敗、遅延を確認します。復旧時に必要なデータが到着していることを確かめる手順と監視を用意します。

6. 二種類の削除 元で版IDを指定して完全削除しても、その版の削除は宛先へ複製されません。版IDなし削除による削除マーカーはルール形式や設定で伝播が変わります。最新のFilter形式では通常デフォルトで複製されず、非タグルールで明示設定できます。

7. Lifecycleとの関係 Lifecycleによる削除等はそのまま宛先へ複製される操作ではありません。送信元のLifecycle設定自体も宛先に自動コピーされません。両側で保管期間を設計し、必要な複製を先に完了できるか確認します。

8. 復旧と費用 複製先の保存量、リクエスト、リージョン間転送等を見積もります。復元試験では複製先を読めるロールとKMSキーを確認します。別アカウントへ複製してもその認証情報が元と同時に失われる設計では、復旧運用が難しくなります。

図解

複製の成立を確認する順序
データの複製と利用者の接続先切替は別に設計します。

重要ポイント

  • CRRとSRRはリージョンの関係で区別する。
  • 既存データの複製と新規データのライブ複製を分ける。
  • 版削除と削除マーカーの伝播は異なる。

間違えやすい点

  • 複製を同期書込みだと思う。
  • 送信元のLifecycle設定も自動複製されると考える。
  • 元で消せば宛先の全データも同じように消えると考える。

用語解説

送信先バケット
複製されたオブジェクトを保存する別のバケット。
Batch Replication
既存オブジェクト等を対象にするバッチ方式の複製。
非同期
元への操作と複製完了の時点が一致するとは限らない処理方式。

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参考資料

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