Object Lockを理解する

Object Lockの版単位の保護と、Compliance・Governance・Legal holdの違いを理解します。

この単元で学ぶこと

  • ロック対象と前提を説明する
  • 保持モードと解除条件を区別する
  • 保持中の更新・削除を判断する

本文解説

1. WORMという考え方 監査証跡は書き込んだ内容が後から改変されないことを求められます。Object Lockはオブジェクトの版に保持情報を付け、削除や上書きから保護します。単にアクセス権を絞る対策とは別の層です。

2. Versioningが必要 Object LockはVersioningが有効なバケットで使います。既存バケットにも有効化できますが、有効化後のObject Lock無効化やVersioning停止はできません。導入前に保存量と管理手順を確認します。

3. 保護は版単位 invoice.pdfのv1を保護しても、同じキーへv2を作れます。v1は保護されたまま非現行になります。版IDを指定しないDELETEは削除マーカーを追加できるため、通常取得で見えないことだけで保護版が消えたとは判断しません。

4. Compliance 固定保持期間のComplianceモードでは、期限までrootを含む利用者が保護版を削除できず、期間短縮やモード変更もできません。誤った長期設定の影響が大きいため、本番適用前に保持要件とデータ範囲を確認します。

5. Governance Governanceは特別な権限を持つ管理者が迂回できる保護です。迂回にはBypassGovernanceRetention権限と明示的な迂回ヘッダーを伴う要求が必要です。通常の運用者と迂回できる管理者の権限を分けます。

6. Legal hold 終了日が未定の調査ではLegal holdを検討します。明示的に解除するまで続き、保持期間とは独立します。期間が満了してもholdが残れば保護は続き、holdを解除しても有効な保持期間が残れば保護は続きます。

7. 保持期限の確認 本単元の固定保持では版のRetain Until Dateを確認します。保持期間を延長する場合と短縮する場合は同じ操作条件ではありません。バケットの既定設定だけでなく、各版に実際に適用された保持情報を読みます。

8. 読むことと消すこと Object Lockは機密性を自動的に確保する機能ではありません。読取りのIAM、公開防止、暗号化も必要です。復旧試験では版IDで取得できるか、保護版の完全削除が拒否されるか、削除マーカーが存在するかを分けて確認します。

図解

二つの独立した保護
保護版への完全削除と、版IDなし削除によるマーカー追加を区別します。

重要ポイント

  • 保護対象はキー全体ではなく版。
  • Complianceはrootにも適用され、Governanceは条件付き迂回が可能。
  • Legal holdと保持期間は独立。

間違えやすい点

  • ロック済みなら新しい版も追加できないと考える。
  • 保持期限満了だけでLegal holdも外れると考える。
  • Object Lockを読取り禁止の機能と考える。

用語解説

Retain Until Date
その版の保持期限を表す日時。
Governance
特別な権限と明示的要求で迂回可能な保持モード。
Legal hold
明示解除まで続く期限未指定の版保護。

関連教材

参考資料

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