S3 Versioning・Replication・Object Lockの違いと使い分け
Versioning・Replication・Object Lockを、履歴・配置・保持という三つの軸で比較し、複合要件に適用します。
この単元で学ぶこと
- 三つの機能を要件に対応付ける
- 複製と削除の境界を説明する
- 保持運用の組合せを判断する
本文解説
1. 履歴の軸 日々更新される価格表で昨日の値に戻したいなら、まずVersioningを検討します。過去の版を保持する機能であり、リージョンをまたぐ配置や保持期限までの削除禁止を自動的に満たすわけではありません。
2. 配置の軸 別リージョンにも価格表を置きたいならCRRを組み合わせます。同一リージョンの部門別バケットに集めるならSRRです。配置を増やす機能と以前の内容を残す機能は、別の障害を扱います。
3. 保持の軸 帳票を一定期間破棄させないならObject Lockを検討します。監査上どの利用者にも期限前の削除を認めないならCompliance、管理者による例外操作を認めるならGovernanceの条件を確認します。
4. 複合要件の例 請求書には「誤上書きから戻す」「別リージョンで保管」「7年間破棄禁止」という三条件があります。版管理、CRR、保持設定を別々に設計します。複製先でのObject Lockの設定・保持情報と読取り権限も確認します。
5. 削除の意味をそろえる 元のキーに削除マーカーを追加する操作と、版ID付きで内容を完全削除する操作は別です。複製では削除マーカーの伝播を設定と条件で判断し、特定版の削除は宛先へ複製しません。削除という単語だけで挙動を決めないでください。
6. 時間と期限 複製は非同期のため、元への保存成功と復旧先への到着には時間差があり得ます。一方、保持期間は版を削除から保護する期限です。データ到着の時点と保持終了の時点を同じ時間条件として扱わないようにします。
7. 整理と保護の両立 Lifecycleで非現行版を整理して費用を抑える案は、必要な復元期間やロック中の保護と整合させます。Legal holdが残っていれば保持期間終了だけで削除可能になるわけではありません。保存量の見積もりには残る版と複製を含めます。
8. 選び方の確認 問題文では、履歴が欲しいのか、別の場所が欲しいのか、削除を防ぎたいのかに分けて読みます。構成後には元と複製先の版ID、保持状態、アクセス権を確かめます。複数機能を使っても復元試験が不要になるわけではありません。
図解
重要ポイント
- 履歴・配置・保持の三軸で要求を分解する。
- 削除マーカーと完全削除は複製で扱いが違う。
- コスト最適化を保持要件より先に決めない。
間違えやすい点
- 別リージョン複製が期限前削除禁止を満たすと考える。
- Object Lockが自動で別リージョンへ保存すると考える。
- 期限満了ならLegal holdも解除されると考える。
用語解説
- 保持要件
- データをいつまで、どの条件で削除から守るかという条件。
- 配置要件
- 必要なアカウントやリージョンにデータを置く条件。
- 復元期間
- 過去のどの時点まで内容を戻す必要があるかという期間。
関連教材
参考資料
教材データに登録された参考リンクです。リンク先の内容や更新日は提供元でご確認ください。
- https://docs.aws.amazon.com/aws-certification/latest/solutions-architect-associate-03/solutions-architect-associate-03.html
- https://docs.aws.amazon.com/AmazonS3/latest/userguide/Versioning.html
- https://docs.aws.amazon.com/AmazonS3/latest/userguide/replication.html
- https://docs.aws.amazon.com/AmazonS3/latest/userguide/replication-what-is-isnot-replicated.html
- https://docs.aws.amazon.com/AmazonS3/latest/userguide/object-lock.html
- https://docs.aws.amazon.com/AmazonS3/latest/userguide/object-lock-managing.html
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