S3 Versioning・Replication・Object Lockのシナリオ判断

請求書保管の事故対応を題材に、必要な保護と実際の復旧操作を判断します。

この単元で学ぶこと

  • 事故の種類から保護を選ぶ
  • 削除・保持の条件を事例で評価する
  • 複製先を含む復旧を点検する

本文解説

1. 誤更新の相談 担当者がorders.csvを誤更新したとします。Versioning有効ならまず版一覧を確認し、更新前の版を取得して内容を比較します。別バケットへ複製していることだけを理由に、誤更新前の内容が必ず残っているとは判断しません。

2. 見えなくなった文書 利用者がファイルを削除した後、通常のGETは削除済みになりました。版IDなし削除によるマーカーが最新なのか、データ版が完全削除されたのかを調べます。前者なら旧版を確認して復旧方法を選べます。

3. 削除権限の事故 管理者が過去版を消せる運用が要件違反なら、Versioningの追加だけでは解決しません。期限前の削除をどこまで禁止するかを決め、Object Lockのモードと管理者権限を設計します。

4. 調査保全 7年の固定保持が終わっても訴訟調査が続くなら、必要な版にLegal holdを適用する運用を検討します。固定保持の満了と調査終了を別に記録します。holdを解除できる権限の付与も承認対象です。

5. 地域障害への備え 東京に保存した帳票を別リージョンで利用するにはCRRと利用側の切替手順を組み合わせます。元への保存が成功していても、障害直前のデータが複製済みかは確認が必要です。RPOの要求と遅延監視を合わせます。

6. 以前の帳票の移行 複製ルールを作る以前からある帳票はBatch Replication等で対象化します。過去データの数や複製完了を点検します。宛先のLifecycleや公開防止まで送信元から自動的に複写されると考えてはいけません。

7. 複製先の削除 送信元で特定版を完全削除しても宛先の同じ版は削除されません。保存義務や消去要件がある場合は両側の手順を確認します。削除マーカーの複製も設定と作成原因で動作が異なるため、実際のルールを読む必要があります。

8. 訓練を設計する 復旧訓練は旧版取得、削除マーカーの確認、複製先読取りを別々に行います。KMSとIAMも復旧先で使えるか確認します。保存量の整理は復元に必要な版を残す条件を決めてから行い、保持中の版をLifecycleで無理に消そうとしません。

図解

事故から復旧手順へ
事故ごとに確認対象が異なり、全てを同じ復旧操作では扱えません。

重要ポイント

  • 誤更新・削除・地域障害を切り分ける。
  • 固定保持と調査保全を独立して判断する。
  • 復旧先の認可と複製完了まで試験する。

間違えやすい点

  • 最新キーが見えなければ全版消失と断定する。
  • CRR設定後は全既存帳票も複製済みと考える。
  • 元の版削除で宛先も同時に消えると考える。

用語解説

調査保全
調査で必要な証拠データを削除から保護する運用。
複製遅延
元への保存から宛先に複製されるまでの時間差。
復旧先の認可
代替保管先でデータや暗号鍵を使うための権限。

関連教材

参考資料

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