S3 Versioning・Replication・Object Lockの全体像
誤上書き、リージョン障害、保存期限前の削除という三つの事故を分け、S3の保護機能を組み合わせます。
この単元で学ぶこと
- 版保持・複製・削除防止の目的を区別する
- 保護機能の前提と限界を説明する
- 復元と費用を含む運用を設計する
本文解説
1. 三つの事故 請求書を間違って上書きした事故には古い版、保管先が使えない事故には別の保管先、期限前の破棄には削除防止が必要です。一つの機能名を覚える前に、守りたい事故を分類します。
2. Versioningは履歴 Versioningを有効にすると同じキーへの書込みが別の版として保持されます。report.pdfを更新しても古い版IDから内容を取得できます。ただし十分な削除権限を持つ人が特定版を削除することを、それだけで防ぐわけではありません。
3. Replicationは別の保管先 Replicationは条件に合うオブジェクトを別バケットへ非同期で複製します。同じリージョンならSRR、異なるリージョンならCRRです。元への保存成功直後に必ず宛先にも存在すると考えず、複製状態を確認します。
4. Object Lockは版の保護 Object LockはVersioningが有効なバケットで、指定された版に保持条件を適用します。元の保護版を削除できなくても同じキーの新しい版を作ることは可能です。履歴全体を一つのファイル名で永久凍結する仕組みではありません。
5. 保持方法を選ぶ Complianceでは保持期間中の版をrootでも削除できません。Governanceは特別な迂回が可能です。Legal holdは解除まで期限を決めずに保持し、保持期間とは独立します。監査要件と運用権限を分けて決めます。
6. 複製の前提と対象 送信元・送信先でVersioningを有効にし、複製ロールや宛先の許可を設定します。以前から保存していたデータを後から複製するならBatch Replication等を検討します。新しいルールを作れば全履歴が自動で遡って複製されるわけではありません。
7. 履歴の費用 履歴と複製が増えるほど保存量が増えます。例えば同じキーの10 MBの版を3版残せば、差分圧縮を仮定せず合計30 MBを考えます。Lifecycleで非現行版を整理する場合も、必要な復元期間とObject Lockの保持を尊重します。
8. 復元試験 誤上書きは以前の版を取得し、リージョン障害は複製先から読む経路を試します。削除マーカーが最新になった場合とデータ版そのものが消えた場合を区別します。復元する主体の権限とKMSキーの利用可否まで確認します。
図解
重要ポイント
- 履歴・複製・版の削除防止は別の目的。
- 複製は非同期で既存データへの適用も確認する。
- 履歴と複製の費用、復元試験を設計に含める。
間違えやすい点
- Versioningだけで期限前削除を禁止できると考える。
- 複製先は常に書込み直後の状態だと考える。
- Object Lockで同じキーへの新規版追加も禁止されると考える。
用語解説
- 版ID
- 同じキーに保存された個々の版を識別する値。
- CRR
- 異なるリージョン間でのS3複製。
- WORM
- 書込み後の内容を変更・削除から保護して繰り返し読む考え方。
関連教材
参考資料
教材データに登録された参考リンクです。リンク先の内容や更新日は提供元でご確認ください。
- https://docs.aws.amazon.com/aws-certification/latest/solutions-architect-associate-03/solutions-architect-associate-03.html
- https://docs.aws.amazon.com/AmazonS3/latest/userguide/Versioning.html
- https://docs.aws.amazon.com/AmazonS3/latest/userguide/replication.html
- https://docs.aws.amazon.com/AmazonS3/latest/userguide/replication-what-is-isnot-replicated.html
- https://docs.aws.amazon.com/AmazonS3/latest/userguide/object-lock.html
- https://docs.aws.amazon.com/AmazonS3/latest/userguide/object-lock-managing.html
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