原価とは何かを理解する
原価は支払った金額を並べただけのものではありません。何の製品やサービスのために、どの資源をどれだけ使ったかを金額で表し、対応する収益と比べるところから学びます。
この単元で学ぶこと
- 目的・活動・資源の関係を説明する
- 支払・消費・販売の時点を分ける
- 総額と単位原価、収益と利益を計算する
本文解説
目的を決めて資源を数える 原価計算では「何のための原価か」を先に決めます。パン100個を作る活動なら、小麦粉、作業時間、オーブンの電力などが資源です。製品だけでなく、清掃サービスを1回提供するための洗剤や作業時間も対象です。原価を集める対象を製品A、サービスB、製造部門などと明示してから、そこへ消費した資源を結び付けます。
消費量を金額に直す 材料を1kg当たり400円で評価し、作業に3kg使ったなら材料原価は400×3=1,200円です。1時間当たり1,000円で評価する作業を2時間行えば労務原価は2,000円です。量だけでは異なる資源を足せませんが、金額へ換算すれば両者の合計3,200円を求められます。単価と数量の単位を揃えて掛けます。
購入・支払と消費は別 材料10kgを500円/kgで買い、その月に6kg使ったとします。購入額は5,000円、消費した材料の原価は3,000円、未使用分は4kg・2,000円です。全額を支払っても、その支払額が直ちに全額その月の製品原価になるとは限りません。反対に、後払いでもすでに消費した資源は原価計算へ含めます。
総原価と単位原価 同一製品を100個完成させ、その100個に対応する原価総額が30,000円なら、1個当たりの原価は30,000÷100=300円です。割る数量は対象原価と対応させます。途中の仕掛品が含まれる原価総額を、説明なしに完成品数量だけで割ることはできません。ここでは在庫や進捗の影響がない完成品の資料から始めます。
収益と原価を対応させる 100個を1個500円ですべて販売すれば売上高は50,000円です。その100個の売上原価が30,000円なら売上総利益は20,000円。さらに販売費と一般管理費が8,000円なら営業利益は12,000円です。売上高から何を控除した段階の利益かを明記し、売上総利益と営業利益を混同しません。
製造と販売管理を区別する 工場で製品を作るための材料や作業は製造原価です。一方、販売の広告や本社の管理活動に係る費用は販売費及び一般管理費へ分類します。費目名が同じ給料や電気代でも、どの活動のための支出かで区分は変わります。製造原価だけを求める問題に広告費を加えないよう、活動の説明を読みます。
部門と責任を結び付ける 製造部門の担当者は作業時間や材料の使い方を改善できても、販売単価を自由に変えられるとは限りません。原価を部門別に集めると、どの活動で増減したかを調べやすくなります。ただし集計された費用のすべてを、その責任者が短期に変更できると決めつけません。実績を評価するときは権限や生産量の変化も確認します。
原価の小ささだけで判断しない 製品Aは売上20,000円・対応原価12,000円、製品Bは売上30,000円・対応原価25,000円なら、差額はAが8,000円、Bが5,000円です。原価額だけでなく収益との対応で採算を見ます。数量、品質、納期、対象期間を揃えない比較では、節約に見えた変更が販売減少や不良増加を招くこともあります。
図解
重要ポイント
- 原価は目的と活動に関連付けた資源の消費を金額で測る。
- 購入・支払・消費の時点は一致するとは限らない。
- 単位原価は対応する総原価÷数量。
- 営業利益は売上総利益から販管費を控除する。
間違えやすい点
- 支払額をそのまま全額当期の原価にしない。
- 売上高と利益を同じ意味にしない。
- 単位と対象数量を揃える。
用語解説
- 資源
- 活動のために使う材料、作業時間、設備利用など。
- 原価計算対象
- 原価を集計しようとする製品・サービス・部門など。
- 単位原価
- 対象とする製品やサービス1単位当たりの原価。
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参考資料
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