Amazon S3とオブジェクトストレージのシナリオ判断

商品写真と社内契約書をS3へ移す計画です。同じ保存サービスでも公開範囲、復旧、取出し時間は違います。キーの整理だけで保護できたと考えず、用途ごとに必要な条件を確認します。

この単元で学ぶこと

  • オブジェクト保存とファイル/ブロックの要件を事例から分けられる
  • 公開・暗号化・世代保持の誤解を修正できる
  • 保存クラス・監査・料金を利用条件へ合わせられる

本文解説

二種類のデータ 商品写真は一般向けの配信に使いますが、契約書は担当者だけが読みます。同じバケットへ置く場合も含め、どのキーにどの主体が何をできるかを設計します。名前にsecretと付けるだけではアクセスを防げません。管理や権限を分けやすい構成も検討します。

ディスク移行の誤解 既存アプリはEC2内のディスクへ細かいブロック更新をしています。単に保存先をS3へ変えれば同じ操作ができるとは限りません。オブジェクトAPIへ対応するよう変更するのか、EBSや共有ファイルを選ぶのかを、アプリが要求する操作から判断します。

フォルダー名と権限 一般用途バケットのprivate/という表示はキーの先頭部分です。そこへファイルを置いたことだけで非公開のアクセス制御が完成するわけではありません。IAMやバケットポリシー、公開制御などの設定と実際の許可・拒否を確認します。

暗号化済みでも誤公開 保存時に暗号化されていても、不要な相手に読取り操作を許可していれば問題です。暗号化の方式だけ変更して調査を終えるのではなく、誰が取得できる状態なのかを直します。通信経路のTLSも別の保護として確認します。

写真を上書きした場合 Versioningで旧バージョンを保持していたなら、正しい世代を確認して復旧できます。ただし設定前の旧データが自動的に作られるわけではありません。また古い世代を削除するライフサイクルや権限によって戻せる範囲が変わるため、実際の復旧を試します。

契約書の保管 年に一度しか参照しなくても、問い合わせ時にすぐ表示する必要があるなら、取出し待ちを伴う方式が適するとは限りません。保管期間、取出しの時間と料金を合わせて保存クラスを選びます。単価だけで一律に最安の方式へ移さないようにします。

監査の準備 誰が契約書を取得・削除したかが必要なら、対象オブジェクト操作の記録を事前に用意します。CloudTrailの標準管理イベントだけですべてのS3取得が揃うとは限りません。記録対象と保持期間、ログの読取り権限も確認します。

費用と自動削除 写真のアクセス増では保存量が同じでもリクエストや転送が増えます。世代を多く保持すれば保存量も増えます。ライフサイクルで整理するときは、保存義務や復旧要件を満たした上で条件を設定し、意図しない削除を避けます。

図解

写真と契約書の条件を分ける
同じS3でもデータ用途によって公開と保存・復旧の条件は異なる。

重要ポイント

  • privateというキー名では公開範囲は制御されない。
  • ディスク操作をオブジェクトAPIへ無条件に置換しない。
  • 旧世代が実際に存在し戻せることを検証する。
  • 頻度だけでなく取出し時間・監査・料金も確認する。

間違えやすい点

  • 暗号化済みを誤公開への対策完了としない。
  • Versioning設定前の旧版が自動復元されると思わない。
  • 低頻度なら取出し待ちを必ず許容すると考えない。

用語解説

オブジェクト
S3が保存する単位。データ本体とメタデータなどから成り、バケット内のキーで指定する。
バケット
S3のオブジェクトを保存・管理する容器。配置や権限などの設定を行う。
キー
バケット内でオブジェクトを指定する名前。暗号化鍵と混同しない。
プレフィックス
キーの先頭部分。一般用途バケットの階層風の整理に使えるが、通常のファイルシステムのディレクトリとは異なる。
Versioning
同じキーの複数バージョンを保持する機能。復旧と保存量の管理を合わせて考える。

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参考資料

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