機密性・完全性・可用性の試験問題への適用

定義を覚えた後は、文章から必要な条件を拾う練習です。ここでは架空の受注業務・会員向けサイト・災害時の連絡を使い、解答に至る途中の判断も示します。掲載するのは独自の練習事例で、公式試験問題の転載ではありません。

この単元で学ぶこと

  • 短い事例から対象情報・利用者・確認された影響を抽出できる
  • 複合事例で設問が求める主目的と残課題を区別できる
  • 選択肢の条件違いを本文の事実に照合して説明できる

本文解説

解答の前に四つを抜き出す 事例を読んだら「対象の情報」「利用を認められた相手」「実際に起きた変化」「問われていること」を分けます。例えば顧客一覧、営業担当、外部公開、最も直接関係する性質、という組合せです。「最初の対策」と「確認された被害」では答える対象が違います。単語の一致だけではなく、設問が求める粒度を確認します。

事例1――新システムへ移した名簿 営業部は顧客一覧を新システムへ移し、担当地区だけ閲覧できる設定にしました。しかし旧共有リンクは誰でも閲覧できるままで、閲覧権限のない第三者の閲覧が確認されました。新システムの権限設定が正しいことは、旧リンクからの漏えいを否定しません。直接の影響は機密性で、残る開示経路である旧共有の取消しなどが対策候補になります。新システムの処理速度を上げてもこの経路は閉じません。

事例2――金額の誤りと処理停止 請求金額の入力ミスが見つかり、担当者が正当な承認を得て訂正しました。その後、別の通信障害で請求一覧を開けなくなりました。前半は完全性の問題とその是正、後半は可用性の問題です。訂正後の値が正しいという条件なら、停止したことだけから金額まで再び誤ったと結論付けないようにします。

事例3――改ざん発見後の復元 公開サイトの商品仕様が無断変更されたため、確認済みのバックアップから戻しました。ページは再開しましたが、バックアップ取得後の正当な製品更新まで失われました。復元で不正変更が除かれたとしても、最新の正当な内容まで正しく戻ったかは別の確認です。変更履歴や承認記録と照合し、必要な更新の欠落を調べます。 例えば9時の保存後、9時30分の承認済み変更Aと10時の無断変更Bが記録されているなら、保存内容にAだけを再適用して照合します。新しい変更だから全て正当とは限りません。

選択肢を同じ目的で比べる 漏えい経路を止める問題なのに、復元の高速化や冗長化を選ぶと、対策として有用でも今回の目的に直接応えていない場合があります。逆にアクセス制限を外して早く使えるようにする案は、可用性だけを見て機密性を損なうおそれがあります。選択肢を「対象」「狙い」「条件」「副作用」の順で本文へ照合します。 復旧案が「2時間以内の再開」と「停止前30分以内のデータ」を求めるなら、再開90分・20分前のデータは両条件を満たしますが、再開60分・60分前のデータでは時間が速くてもデータ時点の要件を満たしません。

「主に」と「全て」を読み分ける 主な性質を一つ選ぶ問いなら、記載された中心的な影響を答えます。「確認された影響を全て」の問いなら、無断閲覧と書換えが両方ある場合に一方を落とさないようにします。設問が複数の観点を認めているのに、事故名を一語に分類して終えるのは不十分です。

未確認の事実を足さない サービス停止の報告だけでは、情報持出しや改ざんが発生したと確定できません。一方、それらが未調査なら「発生していない」とも言い切れません。確認された事実と調査が必要な可能性を区別する選択肢を選びます。「必ず」「だけで十分」といった語がある場合は、その断定を支える条件が本文にあるか確かめます。

解き直しでは誤答の条件を説明する 例えば旧リンク漏えいに対してバックアップ復元を選んだなら、「データが失われて復旧が必要な場合には役立つが、今回は旧リンクの閲覧許可が残っている」と説明します。誤答を単に無価値と切り捨てず、何に効く対策かを区別すると別の事例にも応用できます。ただし本教材の練習で正解できることが、本番試験での得点や合格を保証するものではありません。

図解

事例から根拠を取り出す解答メモ
独自事例の整理例。事実を抜き出してから定義や対策を対応付け、本文にない被害は追加しない。

重要ポイント

  • 対象情報・許可利用者・起きた変化・設問の要求を分ける。
  • 新しい対策が正しくても残った古い経路を見落とさない。
  • 問題発生・是正・別の障害を時系列で分ける。
  • 対策は有用かどうかだけでなく今回の目的への適合で選ぶ。
  • 確認済みの複数影響を落とさず、未調査の影響は断定しない。

間違えやすい点

  • 停止の報告から無断取得を自動で推定しない。
  • 復旧成功の一語で正当な更新の欠落を見落とさない。
  • 誤答の対策は全場面で無意味だと一般化しない。

用語解説

影響
事故や変更によって情報・業務などに生じる損害や支障。
是正
確認された不適切な状態を正すこと。
残存する経路
対策後も、情報の閲覧や変更などが可能なまま残っている手段・共有先など。
変更履歴
変更の時点や内容などを記録したもの。正当な更新と復元後の状態の照合にも利用する。

関連教材

参考資料

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