教師あり学習のモデル/活用判断
返品の有無を判定する課題と、配達時間を予測する課題を比較します。目的、入力、正解、評価尺度を決める練習を通じて、教師あり学習を業務へ当てはめます。
この単元で学ぶこと
- 業務目標を分類・回帰へ定式化できる
- 予測時点に利用できる特徴を選べる
- 予測誤差を計算して基準モデルと比較できる
本文解説
課題A:返品判定 注文確定時に、その注文が30日以内に返品されるかを予測します。ラベルは返品あり/なしの二値、特徴は注文時点の商品属性・数量などです。返品後に付く返品理由を特徴へ入れると、予測時点で未知の情報を使ってしまいます。
ラベルの期間 まだ注文から5日しか経っていない品を返品なしと確定すると、後に返品される例へ誤ラベルを付ける可能性があります。30日という観察期間を満たしたかを確認します。単にデータベースの現時点の状態を正解とみなさないようにします。
課題B:配達時間 注文から配達までの分数を予測するなら回帰です。道路距離、注文時点の混雑指標などを使い、配達後に確定する実到着時刻は正解の算定にだけ使います。距離が相関しても、それだけであらゆる遅延原因を説明できるわけではありません。
平均絶対誤差 実値30・40・50分に対し予測35・35・55分なら、誤差の絶対値は5・5・5分でMAE5分です。符号付き誤差5・-5・5を単に平均すると約1.67分となり、上下の誤りを相殺して大きさを過小に表します。
二乗誤差との違い 同じ例のMSEは(25+25+25)÷3=25分²です。MAEと単位が違うので値5と25を直接「どちらが悪い」と比較しません。MSEは大きな誤りへ二乗の重みを与えるため、外れた予測への感度が異なります。
基準モデル 複雑なモデルの前に、過去の平均時間を常に予測するなど単純な基準を同じ評価データで測ります。新モデルが基準より誤差を減らせないなら、複雑さだけを理由に採用する必要はありません。訓練と評価の分割条件もそろえます。
分類の尺度 返品が1%しかないなら、全件返品なしでも正解率99%。返品を見逃さない目的なら返品クラスの再現率、調査担当の負担を抑えるなら適合率も見ます。しきい値を動かすと見逃しと誤警報の均衡が変わるため、業務上の費用を考慮します。
導入後 商品の構成や配達区域が変わると入力や正解の分布も変わり得ます。過去の高精度を永久保証とせず、時期・地域などに分けた誤りを点検します。教師あり学習の結果は意思決定の材料であり、学習した相関だけで施策の因果効果を証明するものではありません。
図解
重要ポイント
- 返品有無は分類、配達分数は回帰。
- 予測時点とラベル観察期間を定義。
- MAEは元の単位、MSEは二乗単位。
間違えやすい点
- 未観察期間の返品なしを正解確定しない。
- 正負の誤差を相殺して誤差の大きさとしない。
- 高い正解率だけで少数クラス性能を判断しない。
用語解説
- MAE
- 予測誤差の絶対値の平均。元の目的値と同じ単位。
- MSE
- 予測誤差の二乗の平均。目的値の二乗単位。
- 基準モデル
- 新方式の価値を比べるための単純な予測方式。
関連教材
参考資料
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