アクセス制御と最小権限を理解する
アクセス制御は、誰が、どの情報や機能に、何をしてよいかを決める仕組みです。業務に必要な権限を与える一方、不要な閲覧・更新・削除を防ぎます。本人確認の後にも操作ごとの判断が必要です。
この単元で学ぶこと
- 主体・資源・操作・条件を分けて権限を表す
- 最小権限と職務分離を事例へ適用する
- 役割や属性、グループ経由の権限を理解する
- 異動・退職・期限終了時に権限を回収する
本文解説
何を許可するか アクセス制御は主体、資源、操作、必要なら時刻などの条件で考えます。主体は人や自動処理、資源は文書・データベース・機能など、操作は閲覧・追加・更新・削除などです。認証は主体を確かめ、認可はその要求を許すか判断します。
最小権限 担当業務に必要な範囲だけを許可します。会計データを読むだけの人に削除まで渡すと、誤操作やアカウント侵害時の影響が広がります。最小とは何もできない状態ではなく、業務に必要な操作を把握して過不足なく限定することです。
役割へまとめる RBACでは閲覧担当、編集担当、承認担当などの役割へ権限をまとめ、利用者へ割り当てます。人ごとにばらばらな設定を増やす負担を減らせますが、一人が多すぎる役割を持つと過剰権限になります。異動時には旧役割が不要かを確認します。
資源と属性の条件 アクセス制御リストは資源に対する主体と操作の対応を列挙する考え方です。属性を利用するABACでは、所属、文書の区分、端末状態などの条件から判断します。役割も属性として扱えるため現実の方式は組み合わせられます。名前を暗記するだけでなく、何を条件としているかを読みます。
既定で拒否する 許可の根拠がない要求は拒否し、必要な操作を確認して許可します。設定を忘れた対象が無条件に公開されることを減らせます。ただし業務が止まらないよう必要な権限を事前に設計し、許可と拒否の双方を試験します。
職務を分離する 申請と承認、操作と監査などを分け、一人で不正や誤りを完結しにくくします。役割名を二つ作っても同じ人が両方使えるなら分離の効果は弱くなります。共謀や権限の誤設定までは自動で防げないため、記録と確認も組み合わせます。
権限のライフサイクル 採用・担当変更・委託開始に合わせて申請と承認に基づき付与し、異動・退職・契約終了に合わせて変更や失効を行います。期間限定の作業には期限を付けます。過去に承認された権限も、定期的に現在の業務と照合する棚卸しが必要です。
実効権限と証跡 個別設定、所属グループ、継承などを合わせた実効権限を確認します。利用者IDを個別にし、操作ログを記録・保護すると追跡しやすくなります。ただしログを取るだけでは不適切な操作を拒否できません。画面表示だけでなく、実処理を行うサーバー側でも毎回必要な権限を検証します。
図解
重要ポイント
- 主体・資源・操作・条件を明確にする。
- 認証済みでも操作の許可は別に判断する。
- 直接付与以外の経路を含む実効権限を確認する。
- 異動や終了時の回収と定期棚卸しを行う。
間違えやすい点
- 読み取りだけなら誰に許可しても安全とは考えない。
- ロールの名前だけで職務分離が成立したとしない。
- 画面の非表示をAPIの権限制御と同一視しない。
用語解説
- 最小権限
- 担当する仕事に必要な対象と操作へアクセス権を限定する原則。
- RBAC
- 職務などに対応する役割へ権限をまとめ、その役割を利用者へ割り当てるアクセス制御。
- ABAC
- 主体・資源・操作・環境等の属性をポリシーに照らして許可を判断するアクセス制御。
- 実効権限
- 個別設定、グループ、継承等と適用規則を合わせ、実際に利用できる操作の範囲。
- 職務分離
- 申請と承認などの職務を分け、一人で不適切な処理を完結しにくくする管理。
関連教材
参考資料
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