バックアップと障害回復を理解する
バックアップは、失ったり壊れたりしたデータを戻すための別のコピーです。ここでは保存する方式だけでなく、どの時点へ戻れるか、業務を再開するまで何が必要かを一緒に考えます。
この単元で学ぶこと
- フル・増分・差分の保存対象と復元順序を説明する
- RPOとRTOを区別し時間で評価する
- 誤削除や攻撃から復旧用コピーを守る
- 復元訓練に必要な確認項目を挙げる
本文解説
コピーと復旧 削除、記憶装置故障、誤更新、攻撃などに備えて元データとは別にコピーを保ちます。復旧にはコピー、必要なソフトウェアや鍵、復元先、操作手順が必要です。コピーがあるという事実だけで、利用可能な状態へ戻せるとは断定できません。
フルバックアップ 対象データ全体を保存します。取得量は大きくなりやすい一方、その時点の全体を戻す基準になります。対象から除外したファイルや外部サービスの状態は別途扱う必要があります。何を対象にしたフルかを明確にしておきます。
増分バックアップ ここでは直前のバックアップから変わった分だけを保存する方式です。日曜にフル、月・火曜に増分なら火曜復元は日曜→月曜→火曜と変更を積みます。通常の取得量を抑えやすい反面、必要な途中世代が欠けると全体を正しく戻せないおそれがあります。
差分バックアップ ここでは最後のフルから変わった分を累積して保存する方式です。日曜フルの後の火曜差分には月・火曜の変更が入ります。火曜復元は日曜フルと火曜差分を使います。フルから時間がたつほど差分が大きくなりやすく、用語の使い方は製品ごとの定義も確認します。
RPO:どこまで戻ってよいか RPOは復旧時点の目標で、どの程度のデータ損失を時間で許容するかを表します。10時の障害で8時までしか戻せなければ2時間分の変更を失い得ます。毎日1回のコピーだけでは、任意の障害時刻で損失を1時間以内に抑える要件を満たせません。
RTO:いつまでに再開するか RTOは復旧時間の目標です。障害の検知や判断、復元先の準備、データの復元、動作確認、利用再開までを計画します。コピーの取得間隔を短くしても復元時間が短くなるとは限りません。RPOとRTOは別々の目標として測ります。
世代と保管先を守る 同期やRAIDは機器故障等への可用性を高められますが、誤削除や不正な暗号化も伝わることがあります。過去世代を残し、本番と同じ権限や同じ災害で全コピーが失われないようにします。暗号化したバックアップでは鍵の回復可能性も確保し、機密性と復旧性を両立させます。
復元を試す 取得失敗の監視と、定期的な復元試験は両方必要です。隔離環境へ戻し、件数・内容・アプリケーションの整合性、鍵や依存サービス、所要時間を確認します。成功ログは取得処理の証拠ですが、復旧の成功を実証するものではありません。環境が変われば手順も更新します。
図解
重要ポイント
- 増分は前回以後、差分は直近フル以後という定義で区別する。
- RPOは復旧時点、RTOは再開までの時間。
- 同期だけでは誤削除前へ戻れない場合がある。
- 取得成功に加えて復元と業務再開を検証する。
間違えやすい点
- コピー数だけで保護の独立性を判断しない。
- 転送時間だけでRTO達成を断定しない。
- 暗号化したコピーの鍵を同時に失わない。
用語解説
- フルバックアップ
- 定めた対象データの全体を保存する方式。
- 増分バックアップ
- ここでは直前のバックアップからの変更を保存する方式。基本的な復元にはフルと必要な増分の系列を使う。
- 差分バックアップ
- ここでは直近のフルからの変更を累積保存する方式。基本的な復元にはフルと目的時点の差分を使う。
- RPO
- 復旧時点の目標。障害によりどれだけ過去の状態まで戻ることを許容するかを時間で表す。
- RTO
- 障害後、業務やサービスを再開するまでの目標時間。
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参考資料
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