差額原価収益分析を理解する
案を変えても動かない過去の支出を判断に混ぜると、有利な選択を見失います。将来の収益と原価のうち案ごとに異なるものを抽出し、差額利益で比較します。
この単元で学ぶこと
- 差額原価・埋没原価・機会原価を区別する
- 余剰能力の条件で特別注文を判定する
- 内製外注の回避可能原価を計算する
本文解説
差額分析の出発点 差額原価収益分析は、代替案を選んだことで変わる将来の収益と原価を比較する方法です。Aを続ける案とBへ変更する案で両方に同額生じる費用は、差を取ると消えます。帳簿に載る総原価と、今の選択で変えられる原価を分けて考えます。 【前提】金額は円。短期の単一期間の意思決定、税・貨幣の時間価値を考慮しない。明記のない品質差・追加投資はない。機会原価は逸失する限界利益で測る。
埋没原価 既に支払って返金されない調査費50,000円は、今どの案を選んでも取り戻せません。これは埋没原価であり、将来の案の比較から除きます。除くとは帳簿から消すことではなく、意思決定の差額計算へ入れないという意味です。
機会原価 工場を特別注文へ使うことで通常品の限界利益30,000円を得られなくなるなら、その30,000円が機会原価です。実際の請求書がなくても、捨てる最良の代替案の利益として考慮します。失う売上全額ではなく、回避できる変動費を引いた逸失利益を使います。
余剰能力と特別注文 空き能力があり通常販売へ影響しない条件で、100個を特別単価700円で受注、追加変動費400円/個、専用準備費10,000円なら、差額利益は70,000-40,000-10,000=20,000円です。既存固定費は受注でも拒否でも同じなら差額に入れません。
能力が不足するとき 同じ注文でも通常品の限界利益30,000円を失うなら、20,000-30,000=-10,000円となり、数量条件の下では不利です。「注文単価が変動費より高い」だけでは判断できません。空き能力、既存顧客への価格影響、品質や納期の条件も検討します。
内製か購入か 部品100個の内製変動費300円/個、内製をやめると回避できる固定費5,000円、外注価格380円/個なら、内製の回避可能費35,000円と購入費38,000円を比較します。他条件が同じなら内製が3,000円有利。配賦固定費でも中止後残るものは差額ではありません。
関連原価は状況で決まる 変動費は常に関連し固定費は無関係、とは言えません。専用機の契約を解約して削減できる固定費は関連します。既に購入済みで他用途も売却価値もない材料の過去取得費は埋没ですが、新規補充が必要な材料なら購入支出を考えます。判断時点と代替用途を読みます。
比較表で解く 特別注文売上90,000、追加製造50,000、追加運送8,000、逸失通常利益12,000なら差額利益20,000です。既存共通固定費40,000は両案共通なら省略できます。差額利益が正でも、契約・品質・供給継続性の非金額条件を満たすか確認して結論を述べます。
図解
重要ポイント
- 将来発生し案によって異なる収益・原価を比較する。
- 埋没原価を除き、機会原価を含める。
- 固定費も回避可能なら関連原価になる。
間違えやすい点
- 全部原価単価だけで特別注文を拒否しない。
- 逸失売上と逸失限界利益を混同しない。
用語解説
- 差額原価
- 案の選択によって変わる将来原価の差額。
- 埋没原価
- 既に発生し現在の選択で変えられない原価。
- 機会原価
- 選択により断念する最良の代替案から得られた利益。
関連教材
参考資料
教材データに登録された参考リンクです。リンク先の内容や更新日は提供元でご確認ください。
確認問題の出題・採点や学習履歴の保存にはログインが必要です。