NPVを理解する

一年後に受け取る100万円と今受け取る100万円を同じ価値として足すと、投資の評価を誤る場合があります。NPVは将来の資金流出入を現在の価値へ換算して、初期投資を回収した上で価値が残るかを調べる方法です。

この単元で学ぶこと

  • 年別キャッシュフローの現在価値を計算できる
  • NPVと会計利益・回収期間を区別できる
  • 独立案と相互排他案の基本判断を説明できる

本文解説

時間価値 今100を年10%で運用できれば一年後110です。逆に一年後110は割引率10%の下で今の100に相当します。この換算が割引です。割引率は資金の機会費用やリスクなどを反映して設定する評価上の率です。

一回の受取を割り引く t年後の資金CFの現在価値はCF÷(1+r)のt乗です。二年後121、率10%なら121÷1.1²=100。一年後と二年後を同じ1.1で割るのではなく、経過年数に応じて累乗します。

NPVの式 NPV=将来の正味キャッシュフローの現在価値合計-初期投資です。初期投資は既に現在の額なのでさらに割り引きません。独立案ならNPVが正は要求収益率を満たした上で価値が残る、負は満たさないという判断になります。

二年の具体例 今190を投資し一年後110、二年後121を得る。率10%なら各現在価値100、100で合計200、NPV10です。単純な入金合計231-190=41は時間価値を無視した余剰でありNPVではありません。

利益と現金を分ける 減価償却費は会計利益を減らしますが、その計上時に現金は出ません。税を考えない単純例で利益30、減価償却20、他の調整なしならキャッシュフロー50です。税を考える場合には減価償却の節税効果なども別に反映します。

最終年の追加額 設備売却収入や運転資本回収が最終年にあるなら、その年の通常キャッシュフローへ加えて同じ時点から割り引きます。運転資本の初期投入は流出、終了時回収は流入です。回収時期を投資開始へ移して扱うことはできません。

比較の条件 同じ目的でどちらか一つしか採用できない相互排他案は、比較期間や前提をそろえた上で通常NPVの大きい案を選びます。単に回収が早い案や利益率の高い案がNPV最大とは限りません。資金制約などがあれば選択問題は追加条件を要します。

解答確認 一年後110の一回受取だけ、初期100、率10%ならNPV0です。利益が全くないという意味ではなく、要求収益率10%をちょうど得ることを意味します。NPVの算定だけで売上や現金の会計仕訳を起こすことはありません。

図解

二年の受取を時点0へそろえる
金額を足す前に時点をそろえます。

重要ポイント

  • 現在価値=CF÷(1+率)の年数乗。
  • NPVは現在価値合計から初期投資を引く。
  • NPV0でも要求収益率は満たす。

間違えやすい点

  • 二年後資金を一年だけ割り引かない。
  • 会計利益を無調整でCFとみなさない。
  • NPV計算を資金移動の仕訳にしない。

用語解説

現在価値
将来の資金を割引率と期間により現在の金額へ換算した値。
NPV
正味現在価値。将来資金の現在価値合計から初期投資を控除した値。
相互排他案
一案を採用すると他案を採用できない選択肢。

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参考資料

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