AWS Cost Explorerのシナリオ判断

販売イベント後、AWS費用が前月より増えました。開発環境の放置、顧客への転送増、構成の変更など、原因候補は複数あります。分析条件をそろえ、数字と操作記録を結び付けて対策を選びます。

この単元で学ぶこと

  • 費用増加の調査順序を組み立てられる
  • 比較の誤りや予測の限界を事例から指摘できる
  • 分析後の通知や見積もりを適切な機能へつなげられる

本文解説

事例の切り分け 会社には本番と開発のアカウントがあります。全社費用が増えたという連絡だけでは、どちらに原因があるか分かりません。同じ期間でアカウント別に分類し、増加が大きい側へ絞ってからサービス別を見ると、無関係な資源の削減を避けられます。

本番の転送が増えていた場合 イベントで画像の配信量が増えれば、EC2台数が同じでも関連費用が増える可能性があります。ネットワーク費を計算資源の費用へ混ぜて「CPUを半分にすればよい」と判断しないようにします。配信方式や転送先に応じた改善案を別途評価します。

開発資源が残っていた場合 開発アカウントの特定サービス費が休日にも続くなら、用途と利用状況を担当者に確認します。ただし費用があるだけで不要とは決めません。検証のために継続稼働が必要な場合もあるので、資源、責任者、停止可能時間を対応付けます。

タグの抜けを扱う 部署別に分けた結果、未分類費用が大きい場合があります。タグが付いていない、配分タグとして有効化されていない、対象のサービスや期間に条件があるなどを調べます。未分類をゼロ円として除外すると、合計と部門配賦が一致しなくなります。

月途中の比較 今月の合計が先月より小さくても、月が半分しか過ぎていなければ節約できたとはいえません。同じ経過日数や日次推移などを用い、変更前後で比較条件をそろえます。曜日やイベントの違いも、解釈に影響する条件として記録します。

予測と新規案件 過去の傾向から算出した予測には、来月開始する新サービスの利用を十分に反映できない場合があります。現行の傾向と新規案件の見積もりを混同せず、新しい台数・保存量・転送量などを仮定して別途評価します。

分析と操作記録 費用が増えた時期と資源作成の時期が重なるなら、CloudTrailで作成主体や操作内容を調べると理由の確認に役立ちます。Cost Explorerの費用分類タグだけでは、誰がどのAPIを実行したかまでは証明できません。

改善の確認 停止や構成変更の後は、反映遅延を考慮して同じ期間・指標で効果を比較します。将来の再増加を通知するにはBudgets、まだ実施していない別構成の費用比較にはCalculatorを使います。分析結果だけを作って運用担当へつながらない状態を避けます。

図解

費用増加の調査経路
分析条件を固定しながら範囲を狭めると、増えた理由と改善効果を説明できる。

重要ポイント

  • アカウント→サービス→利用項目と順に調べる。
  • タグ未分類を無料扱いしない。
  • 月途中や新案件を過去予測だけで評価しない。
  • 変更効果は同条件で検証し、通知と見積もりを使い分ける。

間違えやすい点

  • 費用の存在だけで不要資源と判断しない。
  • 作成主体を費用タグだけから断定しない。
  • 反映前の画面で節約効果を即断しない。

用語解説

費用実績
収集された利用量・料金条件に基づく費用。最新分の反映には時間差があり得る。
予測
過去の傾向などから将来を推定した値。構成変更や急な需要増で外れる可能性がある。
予算
管理上の目標額や利用量。通知しきい値を設定できるが、それ自体が全課金の上限とはならない。
コスト配分タグ
費用をプロジェクトや部門などへ分類するため、請求分析用に有効化して利用するタグ。
見積もり
想定した構成、リージョン、利用量、料金条件から計算した費用。将来の請求確約ではない。

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参考資料

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