日商簿記初級は、企業の日常的な取引を簿記の5要素に分類し、増減から仕訳へ変換する基礎力を問うネット試験です。
運営:資格合格.web 運営/更新日 2026-10-05/読了目安 16分
日商簿記初級 攻略ガイド
日商簿記初級は、「簿記が初めて」の人が取引を仕訳へ変換する基礎を身につけるための試験です。
難しい決算論点を大量に覚えるより、資産・負債・純資産・収益・費用の5要素を見分け、何が増えた・減ったかを判断し、それを借方・貸方へ正しく置けることが重要です。
このガイドでは簿記初級を、仕訳パターンを暗記する試験ではなく、取引の意味を読み取って帳簿へ記録する基礎試験として攻略します。
このページの仕訳例・計算例は、学習方法を説明するために資格合格.webが独自に作成したものです。実際の日商簿記初級の非公開試験問題を転載・再現したものではありません。
最初に知っておきたい「簿記初級で失点しやすい4パターン」
1. 借方は左、貸方は右だけを覚える
左右だけを覚えても、どの科目をどちらへ置くかは決まりません。
先に、その取引で何が増え、何が減ったかを判断します。
2. 勘定科目名だけを丸暗記する
売掛金・買掛金・借入金・貸付金など、名前が似ている科目は混ざりやすくなります。
「誰に対する権利か」「誰への義務か」を考えると整理しやすくなります。
3. 現金が動いたかだけで仕訳を決める
掛取引など、現金がその場で動かなくても仕訳は発生します。
現金だけでなく、権利や義務が増減したかを見る必要があります。
4. 正解した仕訳をそのまま暗記する
文章が少し変わると、丸暗記した形では対応できません。
正解したときも、「なぜこの科目か」「なぜ借方・貸方のこの側か」を説明できるか確認します。
最初に5要素を見分ける
簿記初級の中心になるのは、次の5要素です。
- 資産
- 負債
- 純資産
- 収益
- 費用
5要素を役割で分ける
日商簿記初級の5要素を役割で分ける。資産、負債・純資産、収益、費用を整理した図。
- 資産現金や備品などの財産と、売掛金など将来受け取る権利。
- 負債・純資産負債は将来支払う義務。純資産は資産から負債を差し引いた正味の財産。
- 収益売上や受取利息など、利益を増やす原因。
- 費用仕入や給料、通信費など、利益を減らす原因。
問題文を読んだら、まず勘定科目がこの5つのどこに属するかを考えます。
資産
現金、預金、売掛金、備品など、会社が持つ財産や将来受け取る権利です。
負債
買掛金、借入金など、将来支払う義務です。
純資産
会社の正味の財産に関係します。
収益
売上など、利益を増やす原因です。
費用
仕入、給料、通信費など、利益を減らす原因です。
最初から借方・貸方を考えるのではなく、何の種類かを決めてから増減を見ると迷いにくくなります。
増減から借方・貸方を決める
増減から借方・貸方を決める
日商簿記初級の増減から借方・貸方を決める。資産・費用の増加は借方、資産・費用の減少は貸方、負債・純資産・収益の増加は貸方、負債・純資産・収益の減少は借方を整理した図。
- 資産・費用の増加は借方備品を買うと備品という資産が増え、借方へ記録する。
- 資産・費用の減少は貸方現金で払うと現金という資産が減り、貸方へ記録する。
- 負債・純資産・収益の増加は貸方借入金が増えると負債が増え、貸方へ記録する。
- 負債・純資産・収益の減少は借方借入金を返すと負債が減り、借方へ記録する。
| 分類 | 増加 | 減少 |
|---|---|---|
| 資産 | 借方 | 貸方 |
| 負債 | 貸方 | 借方 |
| 純資産 | 貸方 | 借方 |
| 収益 | 貸方 | 借方 |
| 費用 | 借方 | 貸方 |
この表は、左右を丸暗記するためではなく、取引で起きた増減を仕訳へ変換するルールとして使います。
ミニケース:現金で備品を買った
10,000円の備品を現金で購入したとします。
- 備品:資産が増える
- 現金:資産が減る
なので、
借方 備品 10,000
貸方 現金 10,000
となります。
この考え方ができれば、金額や文章が変わっても同じルールで判断できます。
似た勘定科目は「権利」と「義務」で分ける
簿記初級では、名前が似ている勘定科目を混同しやすくなります。
似た勘定科目を権利と義務で分ける
日商簿記初級の似た勘定科目を権利と義務で分ける。売掛金:受け取る権利、買掛金:支払う義務、貸付金:返してもらう権利、借入金:返す義務を整理した図。
- 売掛金:受け取る権利商品を売り、後日代金を受け取る権利なので資産。
- 買掛金:支払う義務商品を仕入れ、後日代金を支払う義務なので負債。
- 貸付金:返してもらう権利相手へ貸したお金を返してもらう権利なので資産。
- 借入金:返す義務相手から借りたお金を返す義務なので負債。
売掛金 / 買掛金
- 売掛金:商品を売って、後で代金を受け取る権利
- 買掛金:商品を仕入れて、後で代金を支払う義務
貸付金 / 借入金
- 貸付金:相手へ貸したお金を返してもらう権利
- 借入金:借りたお金を返す義務
名前だけでなく、自分が受け取る側か、支払う側かを考えます。
現金が動かない取引も仕訳する
簿記を始めたばかりだと、「お金が動いたときだけ記録する」と考えがちです。
しかし掛取引では、その場で現金が動きません。
たとえば商品を掛けで販売した場合、現金は増えませんが、後日代金を受け取る権利である売掛金が増えます。
簿記では、現金の動きだけでなく、会社の財産・義務・利益がどう変わったかを記録します。
仕訳から元帳へどうつながるかを見る
取引から仕訳・元帳へつなぐ
日商簿記初級の取引から仕訳・元帳へつなぐ。取引を読む、仕訳を記録する、科目ごとに元帳へ転記する、増減と残高を確かめるを整理した図。
- 取引を読む取引で変化する財産・義務・利益を読み取り、科目を選ぶ。
- 仕訳を記録する5要素の増減から借方・貸方を決め、科目と金額を記録する。
- 科目ごとに元帳へ転記する仕訳に記した金額を、それぞれの勘定科目の借方・貸方へ移す。
- 増減と残高を確かめる現金など各勘定の増減が集まり、残高を確認できる。
仕訳は、取引を最初に記録する入口です。
その後、各勘定科目ごとに増減を集めるため、総勘定元帳へ転記します。
たとえば現金に関する仕訳が複数あれば、現金勘定へ集めることで、
- いくら増えたか
- いくら減ったか
- 最終的にいくら残っているか
を確認できます。
仕訳と元帳を別々の暗記項目にせず、仕訳を科目ごとに整理したものが元帳と考えると理解しやすくなります。
残高は「今いくら残っているか」を表す
現金残高を増減から確かめる
日商簿記初級の現金残高を増減から確かめる。期首の現金残高、受け取った現金を加える、支払った現金を引く、期末残高と記録を照合するを整理した図。
- 期首の現金残高計算を始める時点で、現金がいくらあるかを確認する。
- 受け取った現金を加える現金の増加を借方記入と対応させて集計する。
- 支払った現金を引く現金の減少を貸方記入と対応させて集計する。
- 期末残高と記録を照合する残高が不自然なら逆仕訳、転記漏れ、二重計上を確認する。
残高計算では、借方合計と貸方合計を機械的に引くだけでなく、
その勘定が今どの状態か
を確認します。
たとえば現金なら、最終的に会社が保有している現金額を表します。
計算結果が不自然なときは、
- 仕訳が逆ではないか
- 転記を漏らしていないか
- 同じ取引を二重に入れていないか
を確認します。
ネット試験は「科目の選択と金額の入力」に慣れる
簿記初級はネット試験で、試験時間は40分です。用語や勘定科目を選ぶ問題に加えて、仕訳や月次集計では金額を入力する問題があります。
取引を見て正しい科目と金額を素早く判断することが重要です。日本商工会議所のサンプル問題と操作体験版の案内で、科目の選択・数値入力・解答欄の移動を確認し、入力漏れや桁の誤りを減らします。
ネット試験会場で受験し、自宅のパソコンからは受験できません。
試験当日は、本人確認書類と使用可能な電卓を準備します。スマートフォン等の電卓機能は使用できません。
40分は「迷う問題を減らす」ことが大切
40分という時間では、1問ごとに長く考え続けるより、基本判断を素早くできるようにする方が有利です。
問題を見たら、
- 取引内容を一言にする
- 使う勘定科目を考える
- 5要素へ分類する
- 増減を見る
- 借方・貸方を決める
という順番をできるだけ短時間で回します。
難しい問題で止まりすぎず、まず取れる問題を確実に処理します。
正解した問題も「理由が言えなければ未完成」
簿記初級の選択式の問題では、偶然や消去法で正解することがあります。金額を入力する問題も、計算や転記の根拠を説明できるか確認します。
復習するときは、
- 正解し、理由も説明できた
- 正解したが勘定科目で迷った
- 正解したが借方・貸方で迷った
- 不正解で5要素を間違えた
- 不正解で増減を逆にした
- 不正解で似た科目を混同した
のように原因を分けます。
「仕訳が苦手」でまとめず、どの判断段階で止まったかを見るのが重要です。
2週間で仕上げるなら「5要素→仕訳→帳簿」の順で進める
1週目:5要素と基本仕訳
資産・負債・純資産・収益・費用の分類を固めます。
現金取引、掛取引、借入・貸付など、日常的な取引を仕訳へ変換します。
2週目:元帳・残高・40分演習
仕訳から元帳への流れを確認し、残高計算へ進みます。
最後は40分を意識して科目の選択と金額入力を含む問題を通し、迷った問題や入力ミスを分類します。
1テーマから40分演習へ進む
日商簿記初級の1テーマから40分演習へ進む。5要素と科目を学ぶ、数問を仕訳へ変換する、理由とミスを確かめる、元帳・残高から40分演習へを整理した図。
- 5要素と科目を学ぶ初学者は資産・負債・純資産・収益・費用の分類から始める。
- 数問を仕訳へ変換する取引を読んで増減を判断し、借方・貸方と金額を決める。
- 理由とミスを確かめる似た科目の混同や増減の逆転を分け、必要なテーマへ戻る。
- 元帳・残高から40分演習へ科目の選択と金額入力を練習し、40分で迷った基本を復習する。
資格合格.webでは「1テーマ→数問→理由確認」で進める
簿記初級は範囲が基礎中心なので、長時間教材だけを読む必要はありません。
おすすめは、
- 5要素や勘定科目を一つ学ぶ
- その場で数問解く
- 間違えた理由を確認する
- 似た勘定科目なら比較する
- 数テーマごとにまとめて解く
という短いサイクルです。
一度に大量暗記するより、覚えたルールをすぐ仕訳に使う方が定着しやすくなります。
試験直前は「新しい仕訳」より「迷った基本」を減らす
直前期に優先したいのは、
- 資産・負債の分類
- 収益・費用の分類
- 売掛金 / 買掛金
- 貸付金 / 借入金
- 現金取引
- 掛取引
- 借方・貸方を逆にした問題
- 元帳への転記
- 残高計算
- 40分演習で迷った問題
です。
新しい論点を増やすより、基本問題で迷わない状態を作ることを優先します。
受験前には最新の実施情報を確認する
2026年度の日商簿記初級はネット試験として実施され、受験料は2,200円(税込)、試験時間は40分、合格基準は100点満点で70点以上です。解答では科目の選択と金額の入力を行います。
試験日は各ネット試験会場が設定します。また、2026年度は毎月第3金曜日がネット試験統一試験日として設定されています。
受験会場や申込方法は会場によって異なるため、受験前には日本商工会議所の最新案内を確認してください。
このガイドを読み終えたら
5要素で迷うなら、まず分類問題を解きます。
分類はできるのに仕訳で止まるなら、増減→借方・貸方の順番を繰り返します。
仕訳はできるが元帳や残高で崩れるなら、転記の流れを確認します。
最後は40分のネット試験形式の演習で、基本取引を見たらすぐ判断し、正しい科目と金額を解答できる状態を目指します。
簿記初級で目指すのは、仕訳を大量に暗記することではありません。
取引を読んで5要素へ分類し、増減から借方・貸方を決め、その結果を帳簿へつなげられる状態です。