評価指標のモデル/活用判断

指標を計算できても、誤警報の対応件数や見逃し損失に結び付けなければモデルを選べません。二つのモデルを同じ評価集合で比較し、閾値と運用を判断します。

この単元で学ぶこと

  • 混同行列から運用負担を求める
  • 見逃しと誤警報の費用を比較する
  • 評価集合の使い分けと指標の限界を説明する

本文解説

同じ100件で比較する 陽性20件、陰性80件の評価集合を使います。モデルAはTP16・FP8・FN4・TN72、BはTP18・FP18・FN2・TN62。どちらも実陽性20、実陰性80です。異なる集合で測った数値より、同じ条件での比較を優先します。 【前提】二値分類では陽性クラスを明示した対象とし、混同行列の数は件数。割合は指定がなければ小数ではなく%で答える。分母ゼロのケースは数値計算しない。

Aの計算 正解率(16+72)÷100=88%、適合率16÷24=約66.7%、再現率16÷20=80%です。24件の警報を調査すると真の陽性16件と誤警報8件が含まれ、4件を見逃します。割合を具体的な件数に戻して読みます。

Bの計算 正解率80%、適合率18÷36=50%、再現率90%。Aより陽性を2件多く発見する代わりに、誤警報が10件増えます。警報を調べる担当者の人数や一件あたり作業時間を考えると、再現率だけを上げればよいとは限りません。

損失の重みを決める 見逃し一件の損失100、誤警報一件の対応費5という単位なら、Aの損失は4×100+8×5=440、Bは2×100+18×5=290です。この費用モデルではBが有利ですが、誤警報費を30に変えるとA640、B740でAが有利になります。

閾値変更の実例 スコア0.9の陽性、0.8の陰性、0.7の陽性、0.2の陰性があるとします。閾値0.85ならTP1・FP0で適合率100%、再現率50%。閾値0.65ならTP2・FP1で適合率約66.7%、再現率100%です。これは適合率低下の一例で、全データで必ず下がるという証明ではありません。

評価に使う集合 閾値やモデルの選択は検証集合で行い、選択後の最終性能を未使用のテスト集合で測ります。テスト成績を見て何度も閾値を選ぶと、テスト集合へ適応して最終値が楽観的になります。同じ利用者の重複や未来情報の混入にも注意します。

率だけでは消えるもの F1=2TP÷(2TP+FP+FN)なのでTNは直接入りません。Aは32÷44≒0.727、Bは36÷56≒0.643。ここではAのF1が高くても、見逃し費用100・誤警報費5の損失ではBが有利でした。指標と最終業務目的は同じものとは限りません。

回帰モデルの比較 正解[10,10,10]に対し予測A[9,9,14]はMAE2、MSE6、予測B[8,8,12]はMAE2、MSE4です。MAEは同じでも大きな誤差を二乗で重く扱うMSEではBが良くなります。どの誤差を重視するかを先に決め、評価値を都合よく選び直さないことが大切です。

図解

再現率と運用負担を同時に比較
どの誤りをどれだけ重く扱うかを明示して、指標を運用へつなげる。

重要ポイント

  • 割合を誤警報・見逃しの件数へ戻す。
  • モデル順位は費用の重みで変わり得る。
  • テスト集合を閾値選択に繰り返し使わない。

間違えやすい点

  • 高F1があらゆる業務の最小損失を意味するわけでない。
  • 分母ゼロの適合率を無条件に100%としない。

用語解説

閾値
スコアから判定を決める境界。
検証集合
モデルや閾値などの選択に用いるデータ。
テスト集合
選択を終えた後の最終評価用に留保するデータ。

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参考資料

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