ROI・RIの仕訳・計算演習
投資センターのA事業部とB事業部を比較し、追加投資案が評価指標に与える影響を数値で解きます。単位は万円、利益と投資額は各部門で同じ基準にそろえ、要求利益率は特記がなければ10%とします。
この単元で学ぶこと
- 規模の異なる事業部のROIとRIを比較できる
- 追加投資後の統合ROIを加重関係から計算できる
- RIの変化を使って要求収益との関係を判断できる
本文解説
比較資料をそろえる A事業部は売上3,000、利益240、平均投資額1,200。B事業部は売上1,000、利益120、平均投資額400です。利益は年額、投資額は同じ方法による年平均とします。もしAが期末資産でBが期首資産なら、そのまま優劣を比べる前に計測基準を確認します。
ROIを直接計算 Aは240÷1,200=20%、Bは120÷400=30%。利益額はAの方が大きい一方、投資一単位に対する利益はBの方が高いと分かります。二部門合計のROIは(240+120)÷(1,200+400)=22.5%です。20%と30%の単純平均25%は投資額の違いを無視しています。
分解して原因を探す Aの利益率は240÷3,000=8%、回転率は3,000÷1,200=2.5回。Bは利益率12%、回転率2.5回です。この資料では回転率は等しく、ROI差は利益率の差として表れています。原因をさらに追うには販売価格、製品構成、原価などの資料が必要で、この比率だけで原価管理の良否を断定しません。
RIで見る Aの資本負担は1,200×10%=120、RIは240-120=120。Bは資本負担40、RI80です。ROIではB、RI金額ではAが上位となります。指標の目的が異なるので、この順位逆転だけで計算誤りとは言えません。
Aへの追加投資案 追加投資300、追加利益45とします。追加案ROI15%は要求10%を上回る一方、Aの既存20%を下回ります。採用後ROIは285÷1,500=19%へ低下。採用後RIは285-150=135へ増加します。追加RIは45-30=15であり、既存RI120に加えると135と一致します。
要求利益率を変えた感度 追加案の投資300・利益45で、要求利益率を18%とすると資本負担54、追加RIは-9です。15%の案は18%の要求を満たしません。RIの正負は要求利益率の置き方に依存するため、比較時にその基準を明示します。
平均投資の別演習 期首投資700、期末900、利益128なら、期首期末平均800を用いたROIは16%、要求10%でRI48です。分母を900とすると約14.22%になり、指定の平均法とは違います。会計期間中の投資時期をどう反映するかも評価設計の一部です。
仕訳との境界 RIの資本負担120を計算しただけで「支払利息120/現金120」と仕訳することはしません。RIは内部の業績評価指標で、現金支払の事実ではないからです。また一年分のROI・RIがよくても、複数年の回収時点やリスクまで判断済みにはなりません。
図解
重要ポイント
- A ROI20%・RI120、B ROI30%・RI80。
- 統合ROIは360÷1,600=22.5%。
- A追加案でROI19%へ低下、RI135へ増加。
- 要求率18%なら追加案RIは-9。
間違えやすい点
- ROIを単純平均して統合しない。
- ROI順位とRI順位が違うことを誤りとしない。
- 内部評価の資本負担を現金支払とみなさない。
用語解説
- 資本負担額
- 投資額に要求利益率を掛けて求める評価上の負担。
- 加重平均
- 各項目の規模を重みにして求める平均。統合ROIでは投資額が重みになる。
- 感度分析
- 前提値を変えたとき結果がどう変わるかを調べる分析。
参考資料
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