ストレージクラスとライフサイクルを理解する
S3の保存クラスは、アクセス頻度だけでなく待てる時間、必要な冗長性、保存期間やサイズから選びます。ライフサイクルで移行・削除を管理する際も、保存単価だけで総費用を判断しないことが重要です。
この単元で学ぶこと
- アクセス要件からS3の保存クラスを比較する
- 最小保存期間・サイズ・取出し等を含む料金を確認する
- ライフサイクル移行と期限切れを版管理に合わせて説明する
本文解説
1. アクセスの頻度と速さ S3 Standardは頻繁に利用するデータの基本となるクラスです。Standard-IAは長く保持し、頻度は低いが必要時にミリ秒単位で読めるデータに向きます。保存単価だけでなく取出しの料金もあるため、頻繁に取り出すデータを低頻度向けへ移せば総額が下がるとは限りません。日々読む画像と、まれに参照する原本を分けて考えます。
2. 一つのAZでよいか One Zone-IAは一つのAZに保存する低頻度向けクラスです。AZの物理的消失に耐える保存ではないため、再作成できるコピー等の条件を確認します。Standard-IAは複数AZに冗長保存します。例えば失うと再作成できない唯一の原本と、別の場所から再生成できる派生ファイルでは同じ判断になりません。
3. アーカイブの取出し Glacier Instant Retrievalは低頻度・長期のデータでもミリ秒単位で取得できるクラスです。Glacier Flexible RetrievalとDeep Archiveでは、通常の読取りの前に復元を要求し待つ必要があります。Flexibleは分〜時間、Deep Archiveは時間単位という違いを、選ぶ取出し方式と合わせて確認します。「Glacier」という名前だけで即時取得できないと決めず、待てる時間に合わせます。
4. アクセスが予測できない場合 Intelligent-Tieringはオブジェクトのアクセス状況を見て階層を移し、変動するアクセスに対応します。監視・自動化料金も比較します。128 KB未満は監視・自動階層化の対象外でFrequent Accessに残ります。通常の低遅延階層に加え、任意で有効化する非同期のアーカイブ階層もあり、即時読取りを要するデータでその設定を混同しません。
5. 最小保存期間 Standard-IAとOne Zone-IAは30日、Glacier Instant/Flexible Retrievalは90日、Deep Archiveは180日の最小保存期間を料金面で考慮します。これはその日まで削除操作ができないという保護機能ではありません。早期の削除・上書き・別クラスへの移行等で残り期間の料金が生じ得るため、短期の一時データを移す前に評価します。
6. サイズと操作の料金 Standard-IA、One Zone-IA、Glacier Instant Retrievalには128 KBの最小課金サイズがあります。例えば64 KBのオブジェクト100個をStandard-IAへ置く説明では、最小サイズの合計は12800 KBとして評価します。移行要求や取出し、アーカイブの追加メタデータ等も別に確認します。現在のLifecycleの標準動作では128 KB未満は移行しないため、明示的な設定や旧設定の差も確認します。
7. Lifecycleの移行 Lifecycleは、プレフィックス・タグ等で対象を絞り、経過日数等の条件でクラス移行や期限切れを管理します。アクセスのたびに判定して階層を変えるIntelligent-Tieringとは役割が違います。例えば作成から30日後に低頻度向けへ移す方針でも、対象データが本当に低頻度になるかを実績で確認します。処理は非同期であり、ルール上の日付の瞬間に全処理が完了するとは限りません。
8. 期限切れと版管理 バージョニングが有効な一般的なバケットで現行データ版を期限切れにすると、新しい削除マーカーが現行版となり、従来のデータ版は非現行になります。非現行版の削除には別の条件を確認するため、通常のGETで見えなくなっただけで全保存料金が消えるとは判断しません。必要な復元期間、保持要件、非現行版のルールを合わせて設計します。
図解
重要ポイント
- 低頻度と遅い取出しは同義ではない。
- 最小保存期間は課金条件であり削除禁止ではない。
- 版管理がある場合、現行の期限切れと過去版の削除を分ける。
間違えやすい点
- One Zoneを複数AZへの冗長保存と考える。
- Intelligent-TieringとLifecycleの判定条件を混同する。
用語解説
- Standard-IA
- 長期の低頻度アクセスを想定し、ミリ秒単位で取得するS3保存クラス。
- 最小保存期間
- 早期削除や移行でも料金上考慮される最短の保存期間。削除を禁止する機能ではない。
- 削除マーカー
- 版管理されたオブジェクトを通常の読取りで削除済みとして扱うための版。
関連教材
参考資料
教材データに登録された参考リンクです。リンク先の内容や更新日は提供元でご確認ください。
- https://docs.aws.amazon.com/AmazonS3/latest/userguide/storage-class-intro.html
- https://docs.aws.amazon.com/AmazonS3/latest/userguide/lifecycle-transition-general-considerations.html
- https://docs.aws.amazon.com/AmazonS3/latest/userguide/lifecycle-expire-general-considerations.html
- https://aws.amazon.com/s3/pricing/
- https://aws.amazon.com/ec2/pricing/on-demand/
- https://aws.amazon.com/vpc/pricing/
- https://aws.amazon.com/privatelink/pricing/
- https://docs.aws.amazon.com/vpc/latest/privatelink/gateway-endpoints.html
- https://aws.amazon.com/about-aws/whats-new/2022/04/aws-data-transfer-price-reduction-privatelink-transit-gateway-client-vpn-services/
- https://aws.amazon.com/cloudfront/pricing/
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