オンプレミスとクラウドの違いを理解する

サーバーを所有する運用と、必要な能力をサービスとして利用する運用を比較し、クラウドへ移すと何が変わるかを学びます。

この単元で学ぶこと

  • オンプレミス・クラウド・ハイブリッドを区別する
  • 調達・容量・運用責任の変化を説明する
  • 費用と適用条件を比較する

本文解説

1. 所有と利用の違い オンプレミスでは自社施設や借りた設備でサーバーを管理します。クラウドでは計算・保存・ネットワーク等の能力をサービスとして利用します。例えば実験用サーバーを物理購入する代わりにEC2を起動できます。クラウドは単にインターネットで見られるWebサイトの別名ではありません。

2. 調達までの時間 物理設備の導入には見積り、発注、搬入、配線等が伴います。クラウドでは既にある基盤から資源を要求できるため、準備時間を短くできます。ただし承認、権限、サービスのクォータや利用可能な容量を無視して無制限に即時取得できるという保証ではありません。

3. 容量を先に固定しない 繁忙期に最大10台、通常2台が必要な業務で、物理設備を最大に合わせて買えば8台分が余る期間があります。クラウドでは需要に合わせて増減する設計を選べます。スケーラビリティは負荷に対応して能力を変えられる性質、弾力性は需要に合わせて拡張と縮小を行う性質として区別します。

4. 運用する層を選ぶ EC2のような仮想サーバーでは利用者がOSやアプリを管理します。RDSなどのマネージドサービスはDB基盤運用の一部をAWSに任せられます。物理設備の管理を減らしても、データの扱い、アクセス許可、アプリの正しさまで任せたことにはなりません。

5. 三つの配置モデル 全体をクラウドで動かす構成、自社設備で動かす構成、両者を接続するハイブリッドがあります。工場の既存システムを残してクラウドの分析へ接続する例はハイブリッドです。複数のAWSリージョンを利用することだけでは、オンプレミスとのハイブリッドとは呼びません。

6. 総費用を比較する 自社設備には機器購入だけでなく電力、場所、保守、人員等の費用があります。クラウドも計算、保存、転送、ライセンス等が費用になります。月額サービス料金と物理サーバー購入額だけを比べず、同じ期間と同じ業務要件で総保有コストを比べます。移行や教育の費用も考慮します。

7. 自動化と管理を組み合わせる 繰り返す環境作成を定義して自動化すれば、手順のばらつきを減らし再現しやすくなります。ただし不要な資源を大量に作る処理も自動化できてしまいます。所有者、期限、権限、利用量の監視を組み合わせ、使い終えた資源を整理します。

8. 適用条件から選ぶ クラウドの利点は調達の速さや能力調整、運用負担の軽減ですが、全業務で無条件に安く安全になるわけではありません。データ配置、接続遅延、既存ライセンス、必要な管理範囲を確認します。段階移行やハイブリッドも選択肢に含め、要件を満たす方式を選びます。

図解

調達と運用の範囲を比較
物理設備を持たないことと、システムを管理しなくてよいことは異なります。

重要ポイント

  • 設備所有からサービス利用へ変わる。
  • 管理責任はサービスの抽象化の程度で変わる。
  • 同じ期間・要件で総費用を比較する。

間違えやすい点

  • クラウドでは容量も予算も無制限だと思う。
  • 移行しただけで利用者の責任がなくなると思う。

用語解説

オンプレミス
自社等が管理する施設・設備でシステムを運用する配置。
ハイブリッド
クラウドと既存のクラウド外設備を接続して利用する配置。
弾力性
需要に合わせて能力を増やし、不要になれば縮める性質。
総保有コスト
導入から運用までの対象期間に発生する費用を合わせたもの。

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参考資料

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