脅威と脆弱性の試験問題への適用

同じ欠陥でも、公開状態や保存する情報によって優先度は変わります。ここでは保管、公開設定、委託、バックアップの事例を使い、資産・脅威・脆弱性を整理して対策を選びます。

この単元で学ぶこと

  • 事例のどの記述が弱点かを特定できる
  • 対策が対象とする被害を説明できる
  • 環境変更と残留リスクへの対応を判断できる

本文解説

事例1:初期パスワード 受注システムの管理画面を公開し、初期パスワードを変更していない会社を考えます。資産は受注情報やシステム、脅威は第三者の不正操作、弱点は知られている認証情報を使い続ける状態です。パスワード変更や管理画面への接続制限を検討します。サーバーの台数を増やすだけでは、この弱点は改善しません。

事例2:同じ欠陥でも優先度が異なる 二つのサーバーに同じ欠陥があっても、一方が一般公開されて顧客情報を持ち、他方が接続を厳しく制限されている場合、露出と影響を比較する必要があります。ただし閉じた環境なら対策不要と決め付けず、内部からのアクセスや持込みも確認します。

事例3:バックアップも同時に失う 本番データと常時接続したコピーが同じ権限で改変できると、攻撃で両方を失う可能性があります。分離や改変防止の方法、復元手順を検討します。コピー数だけでなく、同じ原因で失われないかを確かめることが重要です。

事例4:二拠点の共通原因 別拠点へ復旧する計画でも、両方が同じ広域停電の影響を受けるなら可用性のリスクは残ります。建物名が違うことと障害の独立性は別です。復旧先の電源や通信、必要な要員も含めて業務を再開できるか確認します。

事例5:教育と仕組みを組み合わせる 誤送信が続くときは、注意喚起だけでなく、宛先・添付の確認や外部送信の制御も検討します。操作する人の注意に全てを任せず、間違いが起きにくい仕組みと、起きた後に気付く記録を用意します。

評価基準をそろえる 高・中・低といった段階評価を使うなら、それぞれの判断条件を共有します。重大な業務停止と軽微な手直しを同じ意味の高として扱うと優先順位を比較できません。根拠を残し、評価者が変わっても前提を追えるようにします。

残留リスクの判断 対策によって発生可能性が下がっても、発生時の被害が重大な場合があります。追加策が必要か、どの条件で受容するかを、判断権限のある責任者が確認します。受容はリスクを消す行為ではなく、認識した上での判断です。

解答の組立て 事例では「対象情報→脅威となる出来事→具体的な弱点→被害→その弱点や影響を減らす対策」と対応付けます。例えば広すぎる共有権限なら権限管理が中心で、バックアップだけでは解決しません。対策名を知っているだけでなく、何に効くのかを説明します。

図解

事例ごとに弱点と管理策を対応付ける
対策の数ではなく、事例にある弱点や被害に対応できているかを確認する。

重要ポイント

  • 資産は守る対象、脅威は損害の原因、脆弱性は弱点。
  • 脅威には誤操作や災害も含む。
  • リスクは発生可能性と影響の両面で考える。
  • 管理策を被害の原因に対応付ける。
  • 対策後の残留リスクと条件変更を見直す。

間違えやすい点

  • 弱点の存在だけで被害発生を断定しない。
  • ソフトウェアの欠陥だけを脆弱性と考えない。
  • バックアップを漏えい防止の代わりにしない。

用語解説

情報資産
保護の対象となる情報やシステム・媒体など。電子データに加え、紙の顧客名簿や契約書も含む。
脅威
損害を引き起こす原因となり得るもの。不正アクセス、盗難、誤操作、自然災害など。
脆弱性
脅威によって被害につながり得る弱点。ソフトウェアの欠陥だけでなく、権限や保管方法、手順の不備も含む。
リスク
損害が生じる可能性と、その影響を考慮したもの。脅威の存在だけでも資産の価格だけでも決まらない。
管理策
リスクを修正するための施策。アクセス制御、教育、施錠、バックアップなど。
残留リスク
管理策を実施した後にも残るリスク。ゼロになるとは限らず、受容や追加対応を判断する。

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参考資料

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