暗号化の試験問題への適用

暗号の名称だけで対策を選ぶと、鍵を一緒に公開したり、相手の鍵を取り違えたりします。送信先、保存先、復旧、鍵の更新という具体的な場面から、どの鍵を誰が持つべきかを整理します。

この単元で学ぶこと

  • 暗号化・復号・符号化の違いを説明する
  • 受信者向けの暗号化に使う鍵と復号鍵を選ぶ
  • 共通鍵と公開鍵の組合せの目的を説明する
  • 鍵の生成・共有・更新・回復に必要な管理を判断する

本文解説

宛先を基準に鍵を選ぶ AがBに秘密の文書を送る場合、公開鍵暗号で暗号化する鍵はBの公開鍵です。Bが対応する秘密鍵で復号します。A自身の公開鍵ではA向けの暗号文になってしまいます。署名に使う鍵の向きとは目的が異なるため、まず誰だけに読ませたいかを決めます。

鍵配送の組合せ例 Aは一時的な共通鍵Kで大量の本文を暗号化し、KをBの公開鍵で暗号化します。Bは自分の秘密鍵でKを取り出し、Kで本文を復号します。これはハイブリッド構成の一例で、実際のプロトコルには公開鍵技術で鍵を合意する方式もあります。すべての通信がこの配送手順そのものだと一般化しません。

鍵を同時公開した事例 暗号文と共通鍵を同じ公開リンクへ載せると、そのリンクを得た第三者も復号できます。別ファイルにしたというだけでは独立した保護になりません。配送先の本人確認、アクセス許可、通信経路、鍵を読む権限を確認します。

人数と鍵数の計算 6人が各ペア専用の共通鍵で通信するなら6×5÷2=15個です。5人から6人へ増やすと、新しい人と既存5人の5組が増えます。公開鍵方式で各人1ペアなら人数分のペアを持ちますが、用途別に複数の鍵を持つ実運用とは区別した計算モデルです。

公開鍵のすり替え 取引先の公開鍵だと信じて攻撃者の鍵を使うと、攻撃者が秘密鍵で読めます。公開してよい鍵でも、誰の鍵かは確認します。証明書や別の信頼できる確認経路などを使い、取得した値を無条件に信用しない設計が必要です。

更新と過去データ 新しい鍵へ更新しても、過去の暗号文が自動で新しい鍵へ対応するとは限りません。過去データを再暗号化するか、安全な旧鍵の保持が必要かを決めます。保存義務や復旧要件のあるデータを読めなくしないよう、鍵の廃止前に影響を確認します。

暗号化の保護境界 保存装置の流出には保存時暗号化が役立っても、権限のあるアプリが侵害されれば通常の取得機能から読まれることがあります。通信が平文なら転送時の保護も不足します。暗号化、権限、端末・アプリの保護を別の管理策として組み合わせます。

比較と運用の確認 鍵長の数値だけで異なる方式の強さを比較しません。評価されたアルゴリズム、利用モード、乱数、鍵の保管と回復、失効時の手順を確認します。公開された標準方式でも鍵は秘密に保つ必要があり、仕組みを非公開にするだけで安全になるわけではありません。

図解

Bへ送る本文と鍵の経路
鍵配送の構成は一例。実際には鍵合意などを使う方式もあり、暗号化と署名の用途は区別する。

重要ポイント

  • 共通鍵は双方が同じ秘密を持つ。
  • 受信者の公開鍵で暗号化し、受信者の秘密鍵で復号する。
  • 公開鍵の持ち主との対応を確認する。
  • 鍵の保護と回復、暗号化と認可を分けて考える。

間違えやすい点

  • 符号化や圧縮を暗号化と混同しない。
  • すべての公開鍵技術を「秘密鍵で暗号化」の一言で説明しない。
  • 暗号化の設定だけで改ざん検知や業務内容の正しさまで保証しない。

用語解説

平文
暗号化の入力となる、元の内容を持つデータ。
暗号文
暗号化処理によって変換されたデータ。
共通鍵暗号
暗号化と復号で同じ秘密鍵を用いる方式。
公開鍵暗号
公開鍵と秘密鍵の対を使う暗号方式。受信者向けの暗号化では公開鍵で暗号化し対応する秘密鍵で復号する。
ハイブリッド暗号
本文の共通鍵暗号と、鍵配送・合意等の公開鍵技術を組み合わせる構成。

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参考資料

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